音楽科授業におけるICT活用の意義と効果的な実践
「小中高をつなぐ音楽科ICT講座」
2021年発売。ユーザー数に関係なく1学年11,000 円と安価(たとえば、学年の児童数が100 名の場合、一人当たり110 円)。
特に音楽づくりは、これまでの紙ではできなかった「音高/音価(リズム)を選ぶ→すぐに音で確認する」ことが可能となったため、楽器を準備する必要なく、指導に苦手意識を持つ教員や、全科担任にとっても気軽に取り組める。
しかし、小学校は令和6(2024)年度の、中学校は令和7(2025)年度の教科書改訂をもって単独の提供は停止になり、それらの一部が紙の教科書上の二次元コードからアクセスし、使用する形となった。【全部ではなかったし…】
https://opac.daito.ac.jp/repo/repository/daito/55060/AN00137137-20250228-001.pdf
2年生「おまつりの音楽」でリズムパターンを選択し、反復を意識したリズムづくり
1年生 鍵盤ハーモニカの「ど」と「そ」の音表示
2年生 提示されている2音または3音の中からの音を選択してつなげる旋律づくり
1年生『こいぬのマーチ』のバッテリーリズム
2年生『この空とぼう』(2拍子)のバッテリーリズム
・今後も有用性の高い題材を抽出し、集中的にコンテンツを開発していくことが望まれる。一方、意味を見出せないコンテンツもあった。児童がわざわざ自身の端末でアクセスして使うものである以上、意味のないものはなるべく削除していくことは必須であろう。
・音楽づくりのコンテンツの利点は、誰でも音楽をつくることができ、選んだ音やリズムを即座に再生できることである。演奏技術が不十分な児童も、あそび感覚で音やリズムパターンを選んで音楽づくりに取り組めるので、学習に対するハードルはかなり下がる。
・ただし、現行のコンテンツではつくった作品を保存できず、作品を残すには適宜スクリーンショットなどをしなければならないことが難点である。音楽づくりではつくるプロセスにおいて記録できたほうがよい場合が多いため、保存機能の搭載が望まれる。
・鍵盤ハーモニカの学習をサポートするコンテンツはまだまだ少ない。小学校低学年は鍵盤ハーモニカを集中して学習する時期であるが、3年生になればリコーダーの学習が加わる。どのようなコンテンツが楽器演奏の技術の定着にふさわしいか、今後も研究が必要である。
・バッテリーリズムのコンテンツは、異なる2つのリズムを音と楽譜で繰り返し確認することを通じて、知識や技能の定着を図るという点で有用性は高いが、学年が進むにつれてリズム楽器の種類が増え、旋律パートも多くなっていくので、内容が高度になるにつれてどのような仕様にしていけばよいかを検討すべきである。
教育芸術社は、これらのデジタルコンテンツに関わる課題を「カトカトーン」で実現しようとしていると思われる。