呼吸のトレーニング法

「うまく息が吸えません」

あまり良い姿勢にしすぎようとして、肩に力が入ったり、身体を後ろに反らしたりすると、うまく息が吸えなかったりします。

悪い姿勢の例

良い呼吸をするには、まずリラックスした身体の状態になっていることが大切です(「歌うときの姿勢が悪いと言われます」を参照)。

良く「お腹に空気を入れる」と言いますが、実際にはお腹に入るのではなく肺で呼吸していることはみなさんもちろんおわかりですね。お腹が膨らむのは、肺に空気が入って膨らみ、横隔膜が下がるからです。横隔膜の位置を確認してみましょう。まずは背中の方から、ウエストの少し上あたりの脇腹に近いところ、笑ったり咳払いするとピクピクするところがありますから探してみましょう。

うしろからみた横隔膜の位置

見つかったら、身体を90度前に倒して息を吸ってみましょう。そうすると、その部分が膨らむのがわかるはずです。この部分を意識して息を吸う練習をしてみましょう。息を吐くときは身体を起こしてください。

次は前です。鳩尾(みぞおち)から 5 cm 位下、おへそから 10 cm 位上に、やはり笑ったり咳払いするとピクピクするところがあります。

前からみた横隔膜の位置

「ウッ」とお腹に力を入れると、その部分が前にピクッと飛び出るのがわかりますか。では今度は「ウッ」と言わないで、力を入れながら息を吐いてみましょう。この時に胸や肩に力が入らないように気を付けましょう。

歌いながら息がうまく吸えないな、と思った時は、今確認した場所を意識しながら息を吸ったり吐いたりしてみましょう。

もう一つ、リラックスして自然に息が入っていく状態をおぼえるエクササイズをやってみましょう。まず息を吐いて、吐き切ったら息を止めます。しばらく止めた後、口を開け身体を緩めると、吸おうとしなくても自然に息が入っていくのがわかるでしょう。これがリラックスした良い呼吸の状態です。

最後に、もう2つ良い呼吸のできるコツを伝授しましょう。まず「ハー」と音を立てたりしないで、ゆっくり静かに吸うこと、そして、いっぱい吸いすぎようとしないことです。急いでたくさん吸おうとすると身体に力が入ってしまい、かえって良い呼吸ができないばかりか、声も出にくくなってしまいます。

良い呼吸は、響きのある声の土台になります。身体を上手に使って、良い呼吸ができるように、ぜひ継続して練習してみてください。